日本顎関節学会雑誌
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慢性リウマチ15例における顎関節の臨床的検討
土川 幸三飯浜 剛渋谷 善行杉浦 正武田 幸彦梅沢 義一斉藤 裕東野 信昭岡野 篤夫森 和久土持 真又賀 泉加藤 譲治
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1989 年 1 巻 1 号 p. 51-65

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抄録

慢性リウマチの治療法選択にさいし, 病状の進展度および活動性を把握することは重要なことである。本検討は, 1974年以来当科に受診した15例の慢性関節リウマチより, 顎関節における臨床症状とX線所見について行なわれた。
臨床症状は10例 (66.7%) に認められた。最も頻度が高かったのは運動時の疼痛, 次いで開口障害と雑音であった。長期罹患患者ほど臨床症状も頻発した。1例に急性期の症状 (開口障害, 耳前部の腫脹・圧痛) を認めた。
X線所見では, 全例に異常を認めた。私達は下顎部吸収度を設定し, 他の所見と比較検討した。吸収度1は3関節に, 2度12関節, 3度14関節, 4度7関節に認めた。下顎窩や関係結節の吸収は, この吸収度とよく一致した。吸収度が増すごとに臨床症状も著しく出現した。罹患期間も吸収度と関連していた。99mTc-MDPによる骨シンチは, 活動性を表現するによい方法と考えられた。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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