1999 年 11 巻 1 号 p. 24-29
顎関節の画像診断に用いる超音波CT装置を試作し, 自作ファントムを用いて臨床応用の可能性を検討した。本試作装置は, 超音波プローブを水平移動させてBモード断層像を連続的に蓄積し, コンピュータにより超音波の入射方向と直交した断層像を構築することができる。この装置を用いて, ヒト乾燥頭蓋骨の関節窩にブタ関節円板を置いたファントムに対し顎関節矢状断超音波像構築を試みた結果, 以下のことが明らかになった。
断層域を内側から外側へ変化させると, それに応じた部位の顎関節周囲骨組織の矢状断像が得られた。内側を断層域とする再構築画像では, 超音波が関節内側まで到達しないため下顎頭の描出は困難であった。しかしながら, 関節頭は外側では描出され, 関節腔に置いたブタ関節円板は高輝度な物体として認識された。以上から, 少なくとも顎関節外側部に関して, 本装置による超音波矢状断像構築の可能性が示唆された。