日本顎関節学会雑誌
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顎関節症クローズドロックにおける上関節腔癒着の影響
関節洗浄パンピングマニピュレーション療法の治療効果による検討
澤 裕一郎竹本 隆宮本 日出川野 大小板橋 勉鈴木 喜一朗高木 宣雄宮城島 俊雄
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1999 年 11 巻 2 号 p. 143-148

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抄録

これまで上関節腔の癒着はクローズドロックにおける開口障害や開口時痛に深く関係するとされ, 外科的に除去されてきた。関節洗浄パンピングマニピュレーション療法は簡単で小侵襲な治療法で, クローズドロック治療において高い成功率である。今回40症例のクローズドロックに対し関節洗浄パンピングマニピュレーション療法を行うと同時に顎関節二重造影ヘリカル-CT任意断層面再構成画像 (以下MPR) にて関節腔および関節円板を診断し, クローズドロックと癒着の関係を関節洗浄パンピングマニピュレーション療法の結果より検討した。その結果, 開口量の増加が得られたのは32例, 疼痛消失したのは35例であった。MPR診断では上関節腔の癒着を28例に認めたが多くは治療効果が良好な症例であった。関節洗浄パンピングマニピュレーション療法にはfibrirationの除去や軽度の癒着剥離などの効果があるとされているが, 実際に通常の水圧でこれらの効果が完全に得られるとは考えにくい。よってこれらの所見は関節洗浄パンピングマニピュレーション療法の癒着に対する治療の可能性が示されたのではなく, 癒着はクローズドロックの治療効果に対し影響は少ないのではないかと考えられた。

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