日本顎関節学会雑誌
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ヒト顎関節摘出標本におけるCOX 1ならびにCOX 2の免疫組織化学的局在について
吉田 博昭福村 吉昭藤田 茂之西田 光男村上 賢一郎飯塚 忠彦
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キーワード: 顎関節, 免疫組織化学
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2000 年 12 巻 1 号 p. 42-47

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抄録
脂肪酸シクロオキシナーゼ (COX) は, プロスタグランジンを合成する酵素である。これらCOXには, COX 1とCOX 2の2つのアイソフォームが確認されており, これらには各々異なる酵素活性がある。COX 1は構成酵素タイプとされ, 多くの組織に発現し, 一方, COX 2は誘導酵素タイプとされ, 炎症性反応の認められる時期に誘導される。
本実験では, 16例の顎関節症のヒト顎関節標本と10例の対照標本についてのCOX 1とCOX 2の局在をポリクロナール抗体にて免疫組織化学的に分析した。
対照標本ではCOX 1とCOX 2の局在は, 線維芽細胞様細胞と血管内皮細胞に認められた。同様に, 顎関節症の標本でも, COX 1とCOX 2の局在は, 線維芽細胞様細胞と血管内皮細胞に頻繁に認められた。
しかし, COX 1とCOX 2の局在は, どちらも対照標本よりも顎関節症の標本に著明に発現していた。
さらに, 顎関節症標本では, 肥厚した滑膜に特異的なCOX 2の発現が確認された。顎関節症の滑膜においては, COX 2の存在は炎症病態を調整する機構に重要な関与があると思われた。
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© 一般社団法人日本顎関節学会
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