日本顎関節学会雑誌
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12 巻, 1 号
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  • 湯浅 秀道, 加藤 勇, 小木 信美, 牧 泉, 外山 正彦, 有地 榮一郎, 栗田 賢一
    2000 年12 巻1 号 p. 1-5
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節症患者の治療を行なうにあたって, 症状が軽快すると医師の指示に従わず来院しなくなる患者が他疾患に比べ多い事は, 臨床において数多く経験する。しかしその実態は不明であり, その情報を利用することができない。そこで来院しなかった患者の理由ならびにその症状を調査し顎関節症における脱落例の取り扱いについての考察を試みた。
    骨変形のない非復位性顎関節円板転位症例に関するランダム化比較試験において, 臨床試験中に非来院となった19症例と臨床試験終了まで来院していた70症例を対象とした。過去の症状については, 治療開始後12週目の症状につき, 「症状なし」, 「症状軽度」, 「症状中等度」, 「症状重度」の4段階で質問紙調査を行なった。
    治療開始後12週時点の質問紙の症状による非来院群19例の改善率は, 73.7% (14/17), 来院群70例の改善率は, 42.9% (30/70) であり, χ2値=4.515, p=0.034と統計学的有意差があった。
    顎関節症 (骨変形のない非復位性顎関節円板転位症例) の臨床試験において, 非来院となり経過観察ができなかった症例では, 症状が改善し患者本人が来院の必要性を感じていなかったことが判明した。
  • 檜山 成寿, 小野 卓史, 石渡 靖夫, 加藤 嘉之, 黒田 敬之
    2000 年12 巻1 号 p. 6-13
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究は, 顎関節可動性と習慣性咀嚼側の発現および顎関節症有症状側との関連について検討することを目的とする。
    東京医科歯科大学歯学部附属病院矯正科を受診した患者50名を被験者とした。実験に先立ち, 各被験者に対して本実験の趣旨を十分説明し承諾を得た。習慣性咀嚼側および顎関節症有症状側の決定は問診にて行った。一方, 顎関節可動性については, 左右側方限界滑走運動時の下顎頭運動をGAMMA社製CADIAXにて記録し, 非作業側下顎頭滑走距離の大きい側を可動距離優位側とした。また, 被験者が動かし易い方向を易可動側とした。さらに, 非作業側下顎頭滑走距離が5mm未満の場合をhypomobility, 12mmを超える場合をhyperrnobility, それ以外をnormalと定義し, これに基づき50名100顎関節の可動性を分類した。
    習慣性咀嚼側と可動距離優位側との間に関連は認められなかったが, 習慣性咀嚼側と易可動側に関しては, 両者の一致する割合が有意に高かった。一方, 100顎関節のうち, hypomobilityは2関節, hypermobilityは23関節, normalは75関節であった。Hypermobilityを示す23顎関節のうち, 有症状関節は16関節 (70%) であり, これはnormalにおける有症状関節の割合 (43%) よりも有意に高かった。
    以上の結果から, 側方滑走運動時の易可動側が習慣性咀嚼側と一致する傾向が示された。また, 下顎頭滑走距離に基づいて評価した可動性の大きい顎関節に顎関節症状の発現しやすい可能性が示唆された。
  • 重田 優子, 山中 悟史, 荒木 次朗, 伊藤 孝介, 小川 匠, 宮本 諭, 福島 俊士
    2000 年12 巻1 号 p. 14-20
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節症患者の訴える痛みには, 器質的要因によるもの, 心因性のもの, 神経性のものなどが含まれており, これらの痛みを評価するには, 一元的な評価のみでは不十分であり, 多元的な評価が必要である。
    今回, 我々は多元的な評価法と一元的な評価法を比較することを計画した。すなわち, JMPQを用いて, 顎関節内障患者における痛みを評価し, VASとの関係について検討を加えた。また, 顎関節症の痛みの質・強さについて部位差を調べるべく, JMPQ・VASと圧痛部位の関係についても検討を加えた。
    顎関節症III型の患者80名に対し, JMPQ, VASおよび圧痛部位を調査し, 以下の知見を得た。
    1. JMPQにおいて, 単独のカテゴリー表現を用いた患者は41%, 複数のカテゴリー表現を用いた患者は53%であった。
    2. JMPQにおいて, 感覚的表現を選択した患者はしない患者に対して, VAS値が有意に高くなる傾向が認められた。
    3. 咀嚼時のVAS値は, 顎関節部の圧痛がある群ではない群と比較し有意に高かった。
    4. 睡眠への影響のVAS値は, どのような質の疼痛であっても表現困難であることが示唆された。
    5. 顎関節部の圧痛を訴える患者では, 平常時疼痛のVAS値が小さく, 筋の圧痛を訴える患者では生活への影響のVAS値が高かった。
    6. 疼痛にはVASにより評価できるものとできないものがあることが示唆された。
  • 佐々木 収, 藤澤 政紀, 神田 尚典, 石橋 寛二
    2000 年12 巻1 号 p. 21-26
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    薄い圧センサーを指先に貼付し, 触診時の荷重量を測定する装置を試作した。この圧痛測定システムを利用して圧痛閾値と荷重速度の関係を調べ, さらに触診時のトレーニングシステムとしての有効性を検討した。
    20人の歯科医師を対象に触診時の圧痛閾値と荷重速度の関係を調べたところ, 圧痛測定用の測定プローブ使用時には, 圧痛閾値と荷重速度の相関が高かった (r=0.82) ものの, 触診時では相関が低かった (r=0.33)。この結果には両者の荷重方向の違いが影響しているものと考えられた。また, 目標を1.0kgfに設定した触診時の荷重量コントロールシステムとして応用した実験結果では, トレーニング前 (0.64kgf) とトレーニング直後 (1.25kgf) およびトレーニング1週間後 (1.58kgf) の間にそれぞれ統計的有意差を認めた (p<0.001; Sheffe's F-test)。目標値との差を比較しても同様に有意差を生じ, 触診時の荷重量制御にトレーニング効果が認められたことから, 本装置は触診トレーニングシステムへの応用が期待できるものと思われる。
  • 松村 佳彦, 後藤 匡, 村田 琢, 野村 城二, 乾真 登可, 田川 俊郎
    2000 年12 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    MRI造影剤Gd-DTPAより副作用が少ないといわれているGd DTPA-BMA: (Gadolinium diethylene triamine pentaacetic acid-bis methyl amid) を顎関節症患者に初めて使用し, 2-3の項目について検討したので報告した.
    全例造影剤投与による造影検査中および造影後にGd DTPA-BMAによる副作用の発現はみられなかった.
    顎関節症患者23名, 46関節の矢状断MR画像についてGd DTPA-BMAの静脈内投与前と投与後の撮影を行った. 23患者の平均年齢は (女性18名, 男性5名) 39.4歳であった。
    視覚的評価では開閉口位ともに有意な造影効果がみられ, 増強効果は変化量で比較すると開口時に有意に高い結果であった. SIRでは全関節で開口時は閉口時に比べ有意に高い値であったが, 症状群間での差は認められなかった。円板位置による比較でも有意な差はみられなかった.
  • 細井 栄二, 匠原 悦男, 川上 哲司, 都築 正史, 森本 佳成, 高山 賢一, 杉村 正仁
    2000 年12 巻1 号 p. 32-41
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節内障, 変形性顎関節症の発症には顎関節負荷が大きく関与していると考えられる。咬合力計と歯科用感圧シートを用い, かみしめ時の咬合力と同時に積分筋電位を実測した。それらの値を静力学的平衡式に代入して顎関節負荷を算出する方法を示した。
    下顎のかみしめ時の筋力, 咬合力および顎関節負荷を考えると, 垂直方向の力のつりあい -(1), 両側下顎頭を通る軸 -(2) および咬合平面に平行の正中矢状面を通る軸の回りのモーメントのつりあい -(3) の静力学的平衡式が成り立つ。筋力はその積分筋電図の波高値に比例し最大筋力は筋の断面積に比例すると見なし, (1) (2) (3) 式の筋力の項を筋種に一定の比例定数と積分筋電図の波高値との積で置き換える。かみしめ時の (2) に筋電図の波高値, 咬合力計で測定した咬合力のモーメントおよび頭部X線規格写真から読み取った長さを代入すれば, 方程式の解として筋肉の比例定数が求められる。さらにこれと歯科用感圧シートをかみしめたときの積分筋電図の波高値との積を筋力とし, その咬合力の記録とを (1) (3) 式に代入すれば連立方程式の解として, 中心咬合位での異なるかみしめ時の顎関節負荷を算出することが出来る。
    この方法により, 片側のかみしめにおいて筋力の大きい側でより大きな顎関節負荷が加わることが示された。
  • 吉田 博昭, 福村 吉昭, 藤田 茂之, 西田 光男, 村上 賢一郎, 飯塚 忠彦
    2000 年12 巻1 号 p. 42-47
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    脂肪酸シクロオキシナーゼ (COX) は, プロスタグランジンを合成する酵素である。これらCOXには, COX 1とCOX 2の2つのアイソフォームが確認されており, これらには各々異なる酵素活性がある。COX 1は構成酵素タイプとされ, 多くの組織に発現し, 一方, COX 2は誘導酵素タイプとされ, 炎症性反応の認められる時期に誘導される。
    本実験では, 16例の顎関節症のヒト顎関節標本と10例の対照標本についてのCOX 1とCOX 2の局在をポリクロナール抗体にて免疫組織化学的に分析した。
    対照標本ではCOX 1とCOX 2の局在は, 線維芽細胞様細胞と血管内皮細胞に認められた。同様に, 顎関節症の標本でも, COX 1とCOX 2の局在は, 線維芽細胞様細胞と血管内皮細胞に頻繁に認められた。
    しかし, COX 1とCOX 2の局在は, どちらも対照標本よりも顎関節症の標本に著明に発現していた。
    さらに, 顎関節症標本では, 肥厚した滑膜に特異的なCOX 2の発現が確認された。顎関節症の滑膜においては, COX 2の存在は炎症病態を調整する機構に重要な関与があると思われた。
  • 川上 哲司, 藤田 宏人, 馬場 雅渡, 都築 正史, 高山 賢, 森杉 敏明, 細井 栄二, 吉田 美奈, 杉村 正仁
    2000 年12 巻1 号 p. 48-51
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節リウマチ患者に対し, ホルミウム・ヤグレーザーを用いた鏡視下滑膜切除術を行い, その有用性および安全性について検討した。
    症例は, 24歳女性で, 慢性関節リウマチのため加療中であり, 顎関節痛を主訴に来院した。X線所見で下顎頭の変形, MRI所見では, joint effusionおよび非復位性関節円板前方転位を認めた。スプリント療法, 上関節腔洗浄療法等を施行するもその効果は認めなかった。
    方法は, ホルミウム・ヤグレーザーを用いて滑膜切除を行った。術後顎関節痛は軽減し, 日常生活支障度も軽減した。また, 術中および術後の合併症は認めなかった。
    顎関節リウマチに対する鏡視下滑膜切除術におけるレーザー使用は安全であり, 有効な治療法になり得ると考えられた。
  • 水谷 英樹, 服部 宇, 千葉 勝広, 瀬古 和秀, 朝比奈 たまき, 兼子 隆次, 篠田 雅路, 上田 実
    2000 年12 巻1 号 p. 52-56
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    1985年4月から1995年3月までに当科で治療した陳旧性顎関節脱臼8症例について臨床的検討を行った。
    8症例の内容は男女比1:3で女性に多く, 平均年齢は60.9歳 (48歳から72歳) であった。全身的既往を有していたのは7例で, 精神科疾患2例, 脳梗塞2例, 消化器疾患2例, 悪性腫瘍 (乳ガン) 1例であった。脱臼の契機は全身麻酔の挿管時が4例と最も多かった。脱臼期間は2か月から2年 (平均6.4か月) であった。
    治療は顎関節部に侵襲を加えることなく, 徒手法 (2例) 次いで骨鈎法 (4例) を試み, これらが無効な症例に対して顎間牽引法 (2例) を適用することにより全例で整復に成功した。術後2週間の開口制限ののち顎運動および咀嚼訓練を行った。
    経過観察期間は6か月から2年 (平均1.1年) で, 1例に顎関節脱臼の再発がみられた。術後の顎関節エックス線像で, 顎間牽引法の2例に下顎頭および関節結節の平坦化が顕著にみられたが, 臨床的には問題なかった。
  • 第1報: 単純断層X線撮影との対比
    本田 和也, 新井 嘉則, 上野 正博, 澤田 久仁彦, 橋本 光二, 篠田 宏司
    2000 年12 巻1 号 p. 57-61
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 顎関節症と診断された症例に対し, 当教室で開発した歯科用小照野X線CT (Ortho-CT) を使用した結果, 骨性変化の診断に有用であったので報告する。使用した装置は画像再構成領域を高さ3.0cm, 直径3.8cmの円柱の範囲に限定した小型のX線CTであり, センサーには4インチのImage intensifier (I. I.) が使用されている。画像再構成時間は約10分であり, Voxel sizeは1辺が0.136mmの正立方体で, 240×280×280 Voxelで構成されている。X線の照射範囲が狭いため, 患者被曝は従来のCT検査より大変低い。対象症例は顎関節症の疑いでOrtho-CTと単純断層X線撮影法による検査を施行した13例26関節で、矢状断のOrtho-CT像と矢状断の単純断層X線像の骨変化について検討した。下顎頭および下顎窩のいずれも、骨形態変化の観察はOrtho-CTのほうが, 単純断層X線よりすぐれていた。この結果から, 顎関節症の骨変化の診断にOrtho-CTは有用であった。
  • 重住 雅彦, 柴田 敏之, 有末 眞, 服部 真幸, 石島 勉, 平井 敏博
    2000 年12 巻1 号 p. 62-67
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    チタンミニプレートを用いた顎関節前方障害形成によって治療し, 術前・術後の顎機能を評価し得た習慣性顎関節脱臼の一例を経験したので報告する。症例は, 精神発達遅滞を有する51歳男性で, 閉口障害を主訴に当科受診した。両側習慣性顎関節脱臼の臨床診断にて, 全身麻酔下で本術式を施行した。術後約12か月経過した現在, 再脱臼は認められず良好に経過している。術前, 術後の下顎運動をシロナソグラフ アナライジング システムIIIで分析し, 比較した所, 術後, 術前に認められた開閉口路の偏位は消失し, 咀嚼運動経路も安定化し, 円滑な下顎運動が得られていた。以上の結果より, 本術式による治療で, ある程度顎機能を保存することが可能と推察された。
  • 豊田 長隆, 浅田 洸一, 荒井 智彦, 徳富 威彦, 志賀 貴之, 斎藤 高, 石橋 克禮
    2000 年12 巻1 号 p. 68-76
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節症IV型症例における下顎頭形態が治療や臨床症状の推移との関連でどのように変化するかについては不明な点が多い。今回, 初診時に顎関節症IV型 (変形性顎関節症) と診断し, 治療をおこない, 6か月以上の期間をあけ再度画像検査を施行した例について, 下顎頭形態変化と臨床症状の推移との関連について検討し, 以下の結果を得た。
    1. 初回検査時の下顎形態は, 片側性IV型例 (32例) では, erosion (19例), osteophyte (14例) が多く, 両側性IV型例 (10例) では左右に同一形態を認めた例 (osteophyte: 6例, deformity: 2例) が多かった。
    2. 初回検査時erosion単独例の18関節中15関節 (83.4%) は, 経時的にerosionの消失, 他の形態への変化を認めたのに対し, osteophyte単独例では経時的変化を認めたものは18関節中3関節 (16.6%) であった。
    3. 初回検査時erosion単独例の18関節中17関節 (94.4%) に関節痛を認めたが, 再検査時にerosionから他の下顎頭形態に変化した16関節のうち, 関節痛を認めたものは3関節 (18.8%) であった。一方, 初回検査時osteophyte単独例では18関節のうち, 関節痛を認めたものは8関節 (44.4%) で, 再検査時にもosteophyteが継続した15関節のうち, 関節痛を求めたものは3関節 (20%) であった。
    4. 初回検査時erosion単独例で再検査時にerosionの消失を認めた例では, 開口域の増大 (初診時: 33.3±6.9mm, 再検査時: 44.2±5.4mm) を認めた。
  • 澤 裕一郎, 川野 大, 後藤 尚昭, 鈴木 喜一朗, 高木 宣雄, 宮城島 俊雄
    2000 年12 巻1 号 p. 77-80
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    関節造影検査法は関節腔内の状態を把握できることから顎関節症において有用な検査法である。これまでわれわれは顎関節二重造影ヘリカルCT-MPR画像を用いた診断を行い良好な結果を得てきた。関節造影は造影剤を使用するため副作用を発症する可能性がある。通常の静脈内投与による造影法ではしばしば副作用の発症を認めるが関節造影ではまれであると言われている。これまで造影剤の副作用については関節造影は静脈内投与と比較して安全であるとされてきた。しかし今回われわれは顎関節造影時の造影剤の副作用によると思われた症例を経験した。症例は検査直後にみられた造影剤注入部と前頸部皮膚の紅斑でステロイド剤の投与で改善した。そこで顎関節造影における造影剤の副作用発症について検討を行った。今回の症例は静脈内投与時の副作用と症状が類似しており, 発症機序には造影剤のアレルギーが関与している可能性が疑われたことから顎関節造影時でも副作用が発症する可能性があり今回の症例は造影剤の副作用によるものであると判断した。以上より顎関節造影時は静脈内投与と同様に造影剤の副作用発症について注意が必要であると考えられた。
  • 松木 宏真, 尾崎 登喜雄
    2000 年12 巻1 号 p. 81-87
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    最近5年間の顎関節症 (II, III, およびIV型) 患者613人に対して保存的治療の効果を評価した。このうち, 治療開始後2か月以内に症状の消失した37例 (CR群) と3か月以上経過しても改善の認められなかった18例 (NI群) を今回の研究の対象とした。両群間で, 治療前のMRI所見と症状および治療に対する効果が比較評価された。その結果, 以下の予後予測因子が明らかとなった。1. NI群はCR群より有意に高齢であった。 (51.2±12.5歳-34.4±17.9歳)。2. 顎関節症の病悩期間がCR群では2.3±3.0か月であったのに対し, NI群では6.9±6.0か月と有意に長かった。3. クレピタスはCR群よりNI群に多く認められた。4. 不可逆性関節円板前方転位の割合は, CR群では16.2%であったのに対しNI群では83.3%と有意に高率であった。5. CR群に比べNI群では関節円板がより大きく前方に転位していた。6. NI群では18人中14人のTMJDはIV型に分類された。一方CR群ではIV型は認められなかった。結論として, TMJDに対する保存的治療の効果は, 患者の年齢, 病悩期間, クレピタスの存在, 関節円板転位の程度に関係していた。それ故, 何の効果も得ることなく長期にわたって保存的治療を行うことを避けるためには, これらの要因を治療期間前に評価することが大切であると考えられた。
  • 山田 一尋, 小栗 由充, 晝間 康明, 花田 晃治, 澤田 宏二, 河野 正司, 林 孝文, 伊藤 寿介
    2000 年12 巻1 号 p. 88-97
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    近年, 顎関節の変形性関節症 (osteoarthritis: OA) と顎顔面変形の関連が報告されているが, OAの臨床像は多様で臨床的対応が遅れる場合がみられる。そこで, 咬合基準位として用いられているタッピング運動と顎関節病態の関連から, 顎変形症患者の顎関節OAの臨床的指針を探ることを目的として、当科を受診した顎変形症患者でヘリカルコンピュータ断層撮影法 (CT), 顎関節磁気共鳴映像法 (MRI), 6自由度顎運動測定を施行した女性48名 (平均年齢20.5歳) の下顎頭骨形態とタッピング運動の関連を検討した。
    両側骨変形群では変形, 断裂・粗造が多く, 片側骨変化群では変形が最も多く見られた。また, 両側骨変化群, 片側骨変化群共に非復位性円板前方転位が高い割合でみられた。
    下顎頭骨変化の有無によるタッピング終末位の比較では, 両側骨変化群の切歯点と顆頭点が骨変化無し群に比べ不安定を示した。関節円板前方転位の有無によるタッピング終末位の比較では, 切歯点は両側非復位群あるいは復位+非復位群で不安定で, 顆頭点は非復位群では下顎頭骨変化を伴い不安定を示し, 復位群では骨変化有り群が骨変化無し群に比べ有意に大きい変位量を示した。また, 前後的顎顔面形態によるタッピング終末変位量の差は見られなかった。
    以上から, 顎変形症患者における切歯点および顆頭点のタッピング終末位変位量は顎関節病態に密接に関連していることが示唆された。
  • Franklin M. Dolwick
    2000 年12 巻1 号 p. 101
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 梶 龍兒
    2000 年12 巻1 号 p. 102
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 瀬上 夏樹
    2000 年12 巻1 号 p. 103
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 矢谷 博文
    2000 年12 巻1 号 p. 104
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 小林 馨
    2000 年12 巻1 号 p. 105
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 和嶋 浩一
    2000 年12 巻1 号 p. 106
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 2000 年12 巻1 号 p. 107-123
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 2000 年12 巻1 号 p. 124-139
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 2000 年12 巻1 号 p. 140-158
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 2000 年12 巻1 号 p. 159-181
    発行日: 2000/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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