日本顎関節学会雑誌
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顎関節症を伴う過蓋咬合症例に対する歯科矯正治験例
谷本 幸太郎丹根 一夫
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2002 年 14 巻 2 号 p. 193-199

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抄録

復位性円板前方転位を有する患者の治療には, 円板整位を目的としたスプリント療法と咬合再構築をめざした歯科矯正治療の有効性が示されている。本論文では, このような治療体系の有用性の検証を目的として, 顎関節症を伴う過蓋咬合患者に対する歯科矯正治療例を報告する。第1症例は, 初診時年齢34歳の女性で, 上顎中切歯の舌側傾斜と過蓋咬合ならびに右側顎関節部疼痛と開口障害を主訴に来院した。前方整位型スプリント療法および22か月の歯科矯正治療の結果, 良好な咬合関係が獲得され, すべての顎関節症状の改善と円板整位が達成された。第2症例は, 初診時年齢14歳の女性で, 前歯部被蓋の改善ならびに右側顎関節部疼痛と開口障害を主訴に来院した。前方整位型スプリント療法および29か月の歯科矯正治療を行った結果, 良好な咬合関係が獲得され, 顎関節症状の改善を認めたが, 円板整位は達成されなかった。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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