日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
Print ISSN : 0915-3004
ISSN-L : 0915-3004
顎関節症診断に対する歯科用小照射野X線CT (Ortho-CT) の有用性について
第2報多断面における骨形態観察
澤田 久仁彦本田 和也新井 嘉則高野 裕美加島 正浩岩井 一男橋本 光二篠田 宏司
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 14 巻 2 号 p. 217-221

詳細
抄録

この研究の目的は, 顎関節の多断面 (外側部, 中央部, 内側部) の骨形態変化を単純断層とOrthocubic super high resolution CT (以下Ortho-CTと略す) で比較し, その検出能を調べることである。
症例は単純断層X線検査とOrtho-CT検査を施行した30例60関節である。内訳は女性26例52関節, 男性4例8関節, 平均年齢30.8歳である。
資料は単純断層X線写真における下顎頭の中央に相当する断層X線写真を用い, これを下顎頭および下顎窩の中央断層像とした。その中央断層面から外側2層目を外側断層像, 内側2層目を内側断層像とした。それら3層の断層像と相対するOrtho-CT像を選択し, 単純断層180像とOrtho-CT180画像を比較した。検討方法は顎関節部を下顎窩と下顎頭に分類し, 骨変化ありと骨変化なしに分類した。
下顎窩および下顎頭ともに, Ortho-CTと単純断層の一致率は高く, また外側部, 中央部, 内側部のすべてにおいてOrtho-CTのほうに「変化あり」が多く観察された。
以上の結果より, Ortho-CTのほうが, 従来の単純断層より, 骨の形態変化の評価に優れており, 単純断層に代わり, 有用性が高いことが示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人日本顎関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top