2002 年 14 巻 2 号 p. 237-241
今回われわれは, 顎関節円板後部組織の肥厚により, 臼歯部開咬状態が発現した閉口障害患者の1例を経験したので報告する。
患者は, 27歳の女性で, 閉口時咬合不全を主訴に2000年11月当科来院した。個人歴は, ブラキシズムを認めた。現病歴は, 約2年前より左側顎関節脱臼様症状を繰り返していたが, 咀嚼障害を自覚しなかったため放置していた。2000年11月同症状出現し咀嚼困難となったため当科受診となった。現症としては, 左側顎関節部および咬筋浅層に圧痛を認め, 開口域は40mm, 左側臼歯部は開咬状態を呈し, 閉口時オトガイ部の健側偏位を認めた。また, 左側下顎第3大臼歯は挺出していた。X線所見で, 閉口時左側下顎頭が前方に偏位しており, MRI所見で, 左側顎関節円板後部結合組織の肥厚を認め, 顎関節鏡視検査および上関節腔洗浄療法を施行したが効果なく, 同年12月ホルミウム: ヤグレーザーを用い, 左側顎関節鏡視下手術, および両側下顎第3大臼歯抜歯を行った。術後早期に咬合不全は改善し, 術後経過良好である。