日本顎関節学会雑誌
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下顎枝垂直骨切り術と下顎枝矢状分割術を併用した外科的矯正治療後に下顎頭のリモデリングを認めた一症例
井澤 俊堀内 信也辻 けい子藤原 慎視大庭 康雄田中 栄二森山 啓司
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2008 年 20 巻 2 号 p. 134-138

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抄録
顔面非対称を伴う骨格性下顎前突症患者に対する顎矯正手術として, 偏位側にIVRO, 非偏位側にSSROを適用したところ, 偏位側の下顎頭形態に骨添加を伴うリモデリングを認めた症例を経験したので報告する。症例は, 反対咬合を主訴として来院した初診時年齢15歳6か月の女子で, overjet-2.5mm, overbite+4.5mm, Angle Class III, ANB-1.5°の骨格性下顎前突症と診断された。マルチブラケット法による術前矯正治療後, 右側はSSROにて9mm, 左側はIVROにて5mm下顎骨を後退させ咬合の改善を行った。術前, 術後3か月, および術後12か月の下顎頭の位置, 形態を顎関節側面断層規格X線写真を用いて評価したところ, 術直後においてIVROを適用した左側下顎頭の位置は前下方へと変化した後, 術後12か月には下顎頭後縁部に骨添加を示し, 明らかな形態変化を認めた。本症例から, 顔面非対称を伴う骨格性下顎前突症例に対する顎矯正手術として, IVROとSSROの併用は有用な方法と考えられるが, 術後に生じる下顎頭の変化に対する慎重な経過観察の必要性が示唆された。
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© 一般社団法人日本顎関節学会
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