日本顎関節学会雑誌
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クローズドロックの臨床所見の検討
第1報 未治療片側性症例の初診時所見について
湯浅 秀道栗田 賢一成田 幸憲小木 信美神野 洋輔河合 幹外山 正彦菊地 厚
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1991 年 3 巻 2 号 p. 345-352

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抄録

1989年2月から1991年3月の期間中に, MRIまたは顎関節造影にてクローズドロックと診断した100例のうち, その臨床所見をより明確にするため, 当科初診まで未治療の片側性症例71例を取り上げ初診時臨床所見を検討した。
結果は全症例71例において, 性別は男性9例, 女性62例で, 初診時の年齢は10歳代後半より20歳代に最も多く, 最大開口域は14mmから55mmに分布していた。罹患側別では左側40例, 右側31例, ロック発症より初診までの期間は1日から30日間が最も多かった。
クローズドロックにおける初診時臨床所見はVisual Analog Scaleにより中程度の開閉口時痛, 咀嚼時痛, 日常生活支障度であった。
平均最大開口域はロック期間1-30日の症例群が31日以上の症例群より有意に小さく, また10歳代の平均最大開口域は20歳以上の症例群より有意に大きかった。
また71例中初診時最大開口域が40mm以上の症例が7例あったこと, クリックの既往のない症例が19例あったことより, クローズドロックの診断は画像診断にて復位を伴わない関節円板の前方転位を確認する必要のあることが確認された。

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