1995 年 7 巻 2 号 p. 304-308
顎関節鏡視下剥離授動術を施行し, 術後咽頭浮腫の生じた1例を経験した。患者は43歳の男性で, 右側顎関節開口時痛および開口障害を主訴に来院した。初診時開口距離は26mmで, 多層同時断層X線検査およびMRI検査から右側顎関節症IV型 (非復位性関節円板前方転位) と診断した。パンピングマニピュレーションを含む保存療法を行うも奏効しなかったため全麻下で顎関節の鏡視下剥離授動術を施行した。術直後に軟口蓋から咽頭側壁にかけて, びまん性の浮腫が認められたため, デキサメサゾンを投与するとともに気管内チューブの抜管を延期した。3時間後に浮腫は消退した。