日本顎関節学会雑誌
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筋症状を伴った顎関節症患者に対するAfloqualoneの臨床効果
巣山 達永井 格仲屋 正樹小田島 哲世
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1995 年 7 巻 2 号 p. 309-316

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抄録

今回, われわれは, 強い筋症状を呈したI型の顎関節症患者10名に中枢性筋弛緩剤の一つであるAfloqualone (Arofuto®) 単独投与を行い, 臨床的ならびに筋電図学的な変化を経時的に観察した。効果判定基準は, Afloqualone (Arofuto®) 投与1週間以内に症状の完全消失をみたものを著効, 2週間以内に症状の改善をみたものを有効, 2週間経過しても症状に変化がないか増悪したものを無効とした。臨床的観察項目は, 顎関節部, 咀嚼筋および頸部周囲筋の運動時痛, 圧痛の有無, 副作用の有無などについて行い, 投与1週目, 2週目効果判定を行った。筋電図学的観察では, 筋電図の誘導を咬筋, 側頭筋前腹より表面電極を用いて左右それぞれにつき行い, 緊張性頸反射時の振幅に関し, 投与1週目, 2週目の比較検討を行った。
その結果, 臨床的症状の改善とともに筋電図学的にも筋活動量の有意な改善が認められ, 臨床的な改善傾向を客観的に示す結果となった。また, 10例中8例では2週間の投与期間中に症状の改善が得られ (有効率80%), 本剤は咀嚼筋異常を主病変とする顎関節症の治療薬として, その高い安全性とあいまって, 有用な薬剤と思われた。

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