日本顎関節学会雑誌
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スタビリゼーションバイトプレート装着時の下顎頭変位に関する研究
西川 敏文川野 晃呉本 晃一江藤 隆徳井上 宏
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1995 年 7 巻 2 号 p. 413-422

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抄録

スタビリゼーションバイトプレートの作用機序には下顎頭の顎関節部への圧迫の緩和, つまりリリーフ効果がその一つとして挙げられている。しかし, プレート装着時の下顎頭の変位についての報告はあまりみられない。特に, 日常臨床での使用頻度の高いスタビリゼーションバイトプレート装着時の詳細な報告はみられず, リリーフ効果の有無についての報告もみあたらない。そこでわれわれは, スタビリゼーションバイトプレート装着時の咬合位での下顎頭の変位量を計測するために, 切歯点で2mmおよび4mm挙上したスタビリゼーションバイトプレート2種類を各被検者ごとに作製し, (1) バイトプレート非装着時, (2) 2mm挙上プレート装着時, (3) 4mm挙上プレート装着時, の三通りについてコンピューターアキシオグラフを用いて下顎頭の変位を測定し, リリーフ効果について検討した。
結果は, プレート非装着時, 2mm挙上プレート装着時, 4mm挙上プレート装着時, と挙上量を増すにつれ下顎頭は有意に前下方へ変位していた。また, 2mm, 4mm挙上プレート装着時の下顎頭変位は習慣性開閉口運動路上にほぼ一致していた。これらの事より, 咬合を挙上したスタビリゼーションバイトプレート装着により, 積極的な下顎頭の下方牽引は認められなかったものの, 下顎頭の前下方変位により咬合位での顎関節後上方部の圧迫の防護であるリリーフ効果を認めた。

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