日本顎関節学会雑誌
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顎関節症保存的治療効果の検討
各種治療法による関節雑音の推移について
水谷 英樹服部 宇安江 一紀千賀 勝広上田 実
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1995 年 7 巻 2 号 p. 423-431

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抄録

顎関節症患者を対象に保存的治療を行い, 治療による関節雑音の変化を調査した。対象は97名で, 主訴別では疼痛が最も多く, 開口距離は雑音群以外は減少していた。また, 97症例中69例に平均4.9年の雑音既往を有していた。初診時, 雑音を現症として有していたのは54症例であった。雑音を臨床的に4段階に分類し, 治療により低値化したものを改善とした。初期治療での雑音改善は28%で, 消失は, 54症例中3例のみであった。また, 初診時開口が30mm以下の36症例で, 症状改善に伴い16症例に雑音を後遺した。初期治療後, 障害を有する雑音に対し, 高分子ピアルロン酸製剤の関節腔内投与, 補綴歯科処置, 歯列矯正を行った。雑音改善に対する効果では, 補綴処置が70%, 歯科矯正33%, ヒアルロン酸製剤の投与18%であった。顎関節雑音は, 顎機能の異常の初期や顎関節機能回復の過程で出現し, 心理的要因を含め障害を有する雑音に対してなんらかの処置が必要と思われた。

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