1997 年 9 巻 1 号 p. 72-79
本論文は歯科口腔外科学とロボティクスの融合による開閉口訓練ロボット WY-1 (Waseda・Yamanashi-1) の開発およびロボットを治療へ適用した結果を述べる。開閉口障害症例に対しては機能訓練治療の一環として開口訓練がおこなわれている。しかしその際用いられる従来よりの木ネジ式・バイトブロック式・センタクバサミ式などの開口訓練器は主に開口域を拡大する単純な機構から構成されており, 駆動装置は備えられておらず, 治療は歯科医師の経験と技術に大きく依存していた。そこで筆者らは開閉口訓練装置の定量化を目指して, ロボット化した開閉口訓練装置の開発を1995年より進めている。
本論文では筆者らが1995年に開発した1自由度開閉口訓練ロボットの構成および開発したロボットを用いて治療した結果, 開口域が14 [mm] から21 [mm] に向上した成果について述べる。