日本顎関節学会雑誌
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顎関節症と楽器演奏に関する疫学的研究
第1報 音楽学部学生と一般学部学生のアンケートによる横断的調査
羽田 勝布袋屋 啓子石川 正俊斎賀 明彦
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キーワード: 顎関節症, 楽器演奏, 声楽
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1997 年 9 巻 1 号 p. 92-107

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抄録
楽器演奏が顎関節症の原因となるか否かについては, 必ずしも明らかでない。そこで, 本研究では音楽学部 (366名) と一般学部 (191名) の全学生を対象に演奏楽器の種類と顎関節症の臨床症状の有無や各種既往歴などについて横断的なアンケート調査を行い, 楽器演奏と顎関節症との関連について検討した。
アンケート結果の分析に際しては, 音楽学部学生を声楽や管楽器などの演奏に口を使用する口使用群 (116名) と, 鍵盤楽器, 弦楽器や打楽器などの口を使用しない不使用群 (250名) に分けて検討した。
その結果, 以下のような知見が得られた。
1. 顎関節症の主要3徴候の発生頻度には, 各被験群間で差がなく, 何れの群でも関節雑音の発生頻度が最大であった。
2. 口使用群では, 2つ以上の症状を保有する複症者の割合が3年生までは低かったが, 4年生で著しく増加し, 他の被験群よりも有意に高い頻度であった。
3. 口使用群の複症者の割合は, 声楽を専攻する学生で有意に高く, リード楽器では複症者や3徴候を全て保有する重症者の発生がなかった。
4. Bruxismについては, 各被験群の複症者や重症者において自覚するものが比較的多く, 症状を持たない無症者では少なかった。
以上の結果から, 楽器演奏全般が顎関節症と関連を持つ訳ではなく, 声楽において関連性の高いことが示唆された。また, 口使用群ではBruxismがあると顎関節症を誘発する可能性の高いことが示唆された。
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© 一般社団法人日本顎関節学会
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