日本顎関節学会雑誌
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パンピングマニピュレーション療法の臨床効果
洗浄療法, ヒアルロン酸注入療法の併用
澤 裕一郎竹本 隆伊藤 正樹宮本 謙高木 宣雄宮城島 俊雄
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1997 年 9 巻 3 号 p. 506-514

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抄録

パンピングマニピュレーション療法は, クローズドロック症例に対し関節円板の復位を目的として行われてきた治療法である。当科においても41例の顎関節症, 非復位性前方転位症例に対しパンピングマニピュレーション療法を施行し良好な治療効果が得られてきた。しかし, 術中に関節円板が復位した症例は少なく, 多くは関節円板の復位が得られなかった。そこでパンピングマニピュレーション療法の効果を開口量の増加と疼痛消失について関節円板の復位と併せて検討した。その結果,
A) 臨床症状の改善について
1) 40mm以上の開口量が得られた症例は32例 (78.0%)
2) 疼痛消失が得られた症例は35例 (85.4%)
3) 両者とも改善した症例は30例 (73.2%)
B) 関節円板の復位について
1) 復位し開口した症例は3例 (9.4%)
2) 復位後, 再ロックし, しばらく後に開口した症例は6例 (18.8%)
3) 復位なしに術直後より開口した症例は8例 (25.0%)
4) 復位せず, しばらく後に開口した症例は15例 (46.8%)
以上より, パンピングマニピュレーション療法の効果は関節円板の復位によるものだけではないと判断した。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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