1997 年 9 巻 3 号 p. 515-519
われわれは, 顎関節滑膜に生じた骨腫の1例を報告する。症例は55歳の女性で, 開口時の右側顎関節の疼痛, 雑音を主訴に当科を受診した。単純X線写真およびCTにおいて, 右側顎関節隙に楕円形の石灰化物を認め, 下顎窩, 下顎頭との連続性がみられないことから, 関節遊離体と診断した。関節鏡視検査では関節遊離体は存在せず, 関節円板後部組織の骨様硬の隆起を認めた。全麻下に関節開放後, 関節円板後部組織の石灰化物を切除し, 骨腫の病理診断を得た。術後4年経過した現在, 関節の疼痛, 雑音はなく経過良好である。