日本顎関節学会雑誌
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顎関節音と下顎頭運動の同時記録解析システム
システムの特徴と運動記録解析条件の検討
永田 和裕旗手 敏
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1997 年 9 巻 3 号 p. 526-540

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抄録

顎関節症患者の顎関節音と下顎頭運動の総合的な評価を目的として, 顎関節音と下顎頭運動の同時記録・解析システムの開発を行った。
本報告では, システムの特徴を述べるとともに, 下顎頭運動速度の定量的な評価を行う際に必要とされる, 適切な記録解析条件に関する検討を行った。以下はその概要である。
・本システムは診断的な目的で利用できるように, 微小な下顎頭運動の解析が行えることに重点をおいて開発を行った。また, 解析プログラムでは, 顎関節音と下顎頭運動の定量的な評価と同時に, 両者の時間的な関連の評価が行えるよう配慮した。
・周波数の異なる音の発生位置を明らかにするため, また, 小さな関節音を正確に評価するために, デジタル・フィルタリング法を採用した。
・下顎頭運動の記録解析条件の評価結果では, 下顎頭運動経路の形態は記録解析条件の影響を受けにくいのに対し, 速度の解析値は記録解析条件の影響を強く受けることが明らかとなった。
・速度の解析値は, サンプリング周波数が高く, スムージングが少ないほど被験者群間の差が顕著であった。また, 健常者群と患者群の下顎頭運動速度の差を明らかにするためには, 最低でもサンプリング周波数を100z以上とし, スムージングを7ポイント以下とする必要があった。

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© 一般社団法人日本顎関節学会
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