2022 年 8 巻 3 号 p. 10-20
本研究では日本の大学生を対象に不健康食品への課税や健康食品への補助金といった健康政策に対し,パーソナリティ特性が与える影響について検討した.その結果から示されたことは以下三点である.第一に,食品の摂取習慣は,運動習慣と共に勤勉性を中心としたパーソナリティ特性が影響を与えていることである.第二に,健康食品摂取意欲は勤勉性等が影響している一方,不健康食品への摂取抑制へはパーソナリティ特性が影響しないことである.第三に,健康食品への補助金については勤勉性や外向性の高い者の購買頻度を高める一方,不健康食品への課税に対する購入頻度低下はパーソナリティ特性は関係ない.より精緻な情報については今後の研究の伸展を待つ必要があるが,本研究で得られた結果は日本における今後の健康政策の企画立案時に示唆を与えるものと考えられる.