言語文化教育研究
Online ISSN : 2188-9600
ISSN-L : 2188-7802
フォーラム
個人の経験を社会・変革・未来へつなげる実践を目指して
ナラティブをリソースとする教材作成の試み
八木 真奈美池上 摩希子古屋 憲章
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 17 巻 p. 404-423

詳細
抄録

本稿は,研究は「生きるために学ぶ人々の要求に応えるもの」でなければならないという問題意識から,移住者が語ったナラティブをリソースとする教材を作成するに至ったプロセスとその意義,並びに作成した教材を使って行った実践について述べる。移住者が語ったナラティブを教材化する目的は,以下の3点である。すなわち,学習者個人のナラティブを(1) 社会に向けて開くこと,(2) それによって日本語教育に対する意味付けを変革すること,(3) それを学習者自身の未来につなげること,である。教材を作成し,実践を行った結果,実践後のワークシートやインタビューから,語りによる移住者へのエンパワーメントや移住者間での経験の共有などが見られた。また,教員養成講座での実践では,受講生の気づきが促され,未来の変化への期待が持たれた。

著者関連情報
© 2019 by Association for Language and Cultural Education
前の記事 次の記事
feedback
Top