言語文化教育研究
Online ISSN : 2188-9600
ISSN-L : 2188-7802
フォーラム
テレビ番組は日本語教育をどのように描いてきたか
NHK番組アーカイブスを用いた表象研究
古屋 憲章古賀 万紀子小畑 美奈恵
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2024 年 22 巻 p. 322-337

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抄録

本稿では,テレビ番組が日本語教育をどのように描いてきたかを当時の社会的文脈をふまえて分析し,テレビ番組が一般大衆に対して日本語教育に関するどのようなメッセージを発してきたかを考察した。NHK番組アーカイブスで選定したテレビ番組33本を分析した結果,番組で取り上げられる学習者は,1960年代は留学生,1970年代は中国帰国者子女,1980年代は国内外のビジネスピープルや労働者,1990年代は日系人,2000年代は看護師候補者,2010年代は外国人労働者子女と,当時の社会情勢や政策に応じて変遷していた。テレビ番組はその時代の関心が高い学習者層に焦点をあて,個人や特定の教育機関における学習/教育の困難や限界を描きだすことで,一般大衆に対して次のようなメッセージを発してきたことがわかった。①日本語教育の現状や課題を自分たちの身近な課題として捉えるべきである。②政府・自治体による施策として日本語教育を推進すべきである。

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