2009 年 51 巻 3 号 p. 325-333
内視鏡検診は内視鏡検査により直接スクリーニングを行う検診方式である.胃癌に対するスクリーニング検査として胃X線検査と胃内視鏡検査が用いられているが,現在では臨床施設においては内視鏡検査が主として用いられている.一方,胃がん検診においてはX線検査が依然として主体として行われているが,内視鏡検診の受診者数が近年急速に増加している.内視鏡検診がそれぞれの施設の考えで別々の方式で行われているため,標準的な検診方法が検討されている.内視鏡検診による胃癌発見率はX線検診に比して高いと考えられるが,死亡率減少効果を目標としたエビデンスに基づく検討では内視鏡検診の有用性は証明されていない.このため,それを明らかにする試みが行われている.その他,見逃し例,偶発症の発症に対する対応が必要である.今後,検診受診者が増加すると考えられるため,ペプシノーゲンなどを応用した対象の集約が必要である.