抄録
【目的】食道静脈瘤硬化療法における血管外注入法が,血管内注入法のトレーニングとして有用であるかを検証した.【方法】当科において消化器内視鏡経験年数5年以上10年以下の若手内視鏡医8名を対象とし,血管内注入法の施行前に経験した経験数と血管内注入法開始後10例までの成功率との相関を調べた.また,血管内注入法の経験曲線を求めた.【結果】血管内注入法経験以前の血管外注入法経験数と血管内注入法開始10例までの成功率には正の相関の傾向(rs=0.653,p=0.079)が認められた.血管内注入法経験数が30例までと31例以降では,成功率がそれぞれ74.9%(134/179),88.8%(71/80)と2群間に有意差を認めた(p=0.011).【結論】血管内注入法のトレーニングとして血管外注入法は有用である可能性が考えられた.