日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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原著
同種造血幹細胞移植後の下部消化管graft-versus-host diseaseに関する内視鏡的検討
矢野 貴文高崎 能久進藤 朗子時任 大吾福留 聖上田 博一郎竹内 昇吾高塚 祥芝宇都宮 與
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2010 年 52 巻 3 号 p. 389-394

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抄録

【目的】同種造血幹細胞移植を施行し,下部消化管GVHDを合併した症例について内視鏡所見を中心に検討を加えた.【方法】対象は2000年8月から2006年12月までに当院で同種造血幹細胞移植を施行したのは95例で下部消化管GVHDを合併した28例のうち,ウイルス性腸炎を合併した8例を除く20例を解析した.方法はそれぞれの症例の内視鏡所見および臨床所見を拾い上げ,さらにそれらの関連性について検討した.【結果】男性13例,女性7例,全例造血器悪性腫瘍であった.全例水様性下痢を呈しており,内視鏡所見は発赤・浮腫18例,不整粘膜6例,びらん14例,潰瘍4例,絨毛の萎縮・消失14例を認めた.消化管GVHDのStage 3,4症例はstage 1,2症例に比し,病変部位は広範囲で,多彩な内視鏡像を呈した.【結論】内視鏡検査での下部消化管GVHD病変の程度や広がりと臨床所見との間に関連が伺われた.

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© 2010 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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