日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
口側への食道上皮下進展を伴ったバレット腺癌の1例
時岡 聡梅垣 英次竹内 望竹内 利寿白石 奈々子柿本 一城依田 有紀子石田 久美村野 実之平松 昌子江頭 由太郎樋口 和秀
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2010 年 52 巻 3 号 p. 402-411

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抄録

要旨:症例は60歳代,男性.主訴は特になし.スクリーニング目的で行われた上部消化管内視鏡検査で,食道・胃接合部に直径15mm大の発赤した陥凹性病変を指摘された.生検での病理組織診断は高分化型腺癌であったため,IIc病変と診断し,精査の結果深達度は粘膜内癌との判断からESDを行った.食道上皮下進展を考慮し,ヨード不染域から6mm以上の余裕をもってマーキングを行い切除したが,病理組織診断では病変は口側に食道上皮下進展しており,口側断端陽性,粘膜下層浸潤も認められたことから追加外科切除となった.表在型のバレット腺癌は上皮下進展することが多く,範囲診断に苦慮することが多いが,今回われわれは1cmを越える口側への食道上皮下進展を伴ったバレット腺癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.

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© 2010 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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