日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
膵管ステントによる膵仮性嚢胞の経乳頭的治療のコツ
奥村 文浩大原 弘隆中沢 貴宏安藤 朝章林 香月田中 創始内藤 格宮部 勝之吉田 道弘城 卓志
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2010 年 52 巻 3 号 p. 440-449

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抄録

膵仮性嚢胞に対する内視鏡的ドレナージは,成功率や再発率では外科的治療にやや劣るが,偶発症の発生率や死亡率では外科的治療および経皮的穿刺術をはるかに凌駕している.そのため,本邦でも従来の外科的治療に替わり,より非侵襲的な内視鏡的ドレナージが行われる機会が増えつつある.内視鏡的ドレナージには乳頭からアプローチする経乳頭的ドレナージと超音波内視鏡ガイド下に行う経消化管的ドレナージがあり,経乳頭的ドレナージの適応は仮性嚢胞が膵管と交通を認めるものである.具体的には嚢胞より乳頭側の主膵管に狭窄や膵石が存在する症例であり,主にD'EgidioらのType-II・IIIに相当する.通常,初回はドレナージ効果を判定するために外瘻法を選択し,必要に応じて膵管ステントによる内瘻法に変更する.ドレナージチューブは可能な限り嚢胞内に留置すべきであるが,不可能なときには嚢胞と膵管の交通部より上流の主膵管にドレナージチューブを留置する.しかし,経乳頭的ドレナージが困難または奏功しない場合には,経消化管的や外科的治療に速やかに移行すべきである.

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© 2010 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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