2010 年 52 巻 8 号 p. 1843-1848
従来膵嚢胞性病変の数はかなり少なく思われていた.しかし,最近,臨床の場でその存在が多く認められるようになってきた.その理由は画像診断の進歩・普及によるものが大きいと思われる.膵嚢性病変は仮性嚢胞と真性嚢胞に大きく分けられ,仮性嚢胞のうち,腫瘍性仮性嚢胞がその大部分を占めている.通常,これは嚢胞状変性と言われている.それに引き替え,先天性真性嚢胞は遭遇することは比較的少ない.本稿では最近,増加していると思われるIPMN,MCN,SCN等に触れながら膵嚢胞性病変の診断の仕方などについて詳述したい.