日本消化器内視鏡学会雑誌
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原著
SM浸潤距離1,000μm未満の大腸pSM癌の検討
大野 康寛中村 尚志入口 陽介山村 彰彦大浦 通久池松 弘朗小田 丈二水谷 勝高柳 聡岸 大輔冨野 泰弘藤崎 聡細井 董三
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2010 年 52 巻 8 号 p. 1849-1856

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抄録

大腸がん治療ガイドラインにより,大腸pSM癌はSM浸潤距離が1,000μm未満までが内視鏡治療の適応拡大病変となった.今回,その適応病変の特徴を明らかにするために,腫瘍径別にみた臨床病理学的検討,およびSM垂直浸潤距離による脈管侵襲(ly or v)の有無,および簇出に関して検討を行った.その結果,(1)大きさが20mm以上の症例ではEMRによる一括切除率が低い,(2)SM浸潤距離が300μm超1,000μm未満の症例では脈管侵襲陽性もしくは簇出(G2/3)の割合が30.8% と高かった.以上の結果から,今後内視鏡治療の適応拡大に伴い,特に大きさ20mm以上の病変に対しては,十分かつ的確な病理組織学的診断に耐えうる切除標本を得るための,内視鏡治療による一括切除率の向上が重要であると考えた.

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© 2010 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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