抄録
症例は58歳,男性.53歳時,中下部胆管癌に対し膵頭十二指腸切除術(以下PD)を施行され,術後5年間に計7回の急性膵炎を発症した.画像検査上,膵管空腸吻合部狭窄が疑われたため,ダブルバルーン内視鏡による膵管造影を施行した.膵管造影上,吻合部狭窄を認め,テーパードカテーテルで狭窄部を拡張後,膵管ステントを留置した.2カ月後,ステントの逸脱により急性膵炎が再燃したため,バルーン拡張術を施行した.その後約1年が経過したが膵炎の再燃なく経過している.ダブルバルーン内視鏡による膵管空腸吻合部拡張術は,通常のアプローチが困難なPD後の膵管空腸吻合部狭窄に対して,有用な治療法のひとつであると考えられる.