2011 年 53 巻 9 号 p. 3034-3039
症例は76歳,女性.突然の心窩部痛,嘔吐を主訴に当院救急外来を受診された.上部消化管内視鏡検査所見では,胃穹窿部から索状物が認められ,幽門洞へ引き込まれていた.また腹部造影CT検査では,十二指腸球部に占有する5cm大の腫瘤陰影を認めた.まず,術前に用手圧迫を併用し内視鏡下に整復を行い,胃穹窿部から発生したGISTと診断し,小切開による胃部分切除術を施行した.病理組織学的にもKIT(+)CD34(+)でGISTであった.ball valve syndromeをきたした症例に対し,内視鏡下に嵌頓を解除し,適切な加療を行えた1例を経験したので報告する.