抄録
粘膜下腫瘍様形態を示す大腸癌は少なく,その中で1cm以下の進行癌はさらに珍しい.今回便潜血反応検査陽性後の精査にて発見された,7mm大の粘膜下腫瘍様形態を示す横行結腸進行癌の一例を経験したので,その臨床病理学的特徴及び発生機序等を文献的に考察し報告する.症例は60歳代,女性.便潜血反応検査陽性にて受診.精査にて横行結腸右側に粘膜下腫瘍様形態を示す癌を認め,腹腔鏡補助下結腸右半切除術を施行した.病理組織学検査結果及び進行度は,7×6mm,中分化腺癌,pSS,pN0(0/19),sP0,sH0,cM0,fStage IIであった.