抄録
症例は61歳男性.近医で施行した大腸内視鏡検査にて下行結腸に10mm大の陥凹性病変を認め,精査加療目的に当センターを紹介された.精査の結果,粘膜下層浅層までの浸潤癌と診断し,内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した.病理組織学的には,陥凹部に一致して粘膜下層へ浸潤する(腫瘍表層から1,500μm)低分化腺癌を認め,リンパ管侵襲陽性であった.外科的治療を追加したが,腫瘍遺残やリンパ節転移を認めなかった.IIc,10×10mm,por1>tub2,pSM(1,500μm),ly1,v0,pN0,StageIと最終診断した.早期大腸低分化腺癌の報告は少なく,特に左側大腸発生例は稀であり,貴重な症例と考えられた.