症例は12歳,男性.区域性大腸炎型を呈する軽症の潰瘍性大腸炎と診断されて以降緩解を維持していたが,4カ月後に心窩部痛と嘔吐にて入院となった.内視鏡検査では胃全体に発赤と小白苔,自然出血する地割れ様のびらんをびまん性に認めた.十二指腸にも発赤や白苔,浮腫,絨毛腫大を認めた.生検では陰窩膿瘍類似で好中球主体の炎症細胞浸潤の所見を得た.H. pyloriや薬剤の関与は否定的であり潰瘍性大腸炎との関連が強く疑われた.prednisoloneと5-ASA製剤の粉末投与にて症状および内視鏡所見と組織学的所見は著明に改善した.自験例を除き軽症で区域性型潰瘍性大腸炎に上部消化管病変を伴った報告例はない.