日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
ニガクリタケ中毒による消化管障害を内視鏡的に観察し得た1例
伊藤 錬磨金子 佳史中西 宏佳辻 国広吉田 尚弘冨永 桂辻 重継竹村 健一山田 真也土山 寿志
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2012 年 54 巻 4 号 p. 1457-1463

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抄録

症例は60歳男性.ニガクリタケを摂取した30分後に嘔吐,腹痛が出現し来院.第2病日に症状は一旦軽快したが,第3病日に嘔吐,腹痛,黒色便を認めた.第4病日の上部消化管内視鏡検査にて上十二指腸角から十二指腸下行部にかけ連続性,全周性に発赤,浮腫,びらん,出血を認めた.保存的加療にて症状は経時的に軽快した.第9病日の内視鏡検査では十二指腸下行部に出血はみられず,顆粒状粘膜や線状潰瘍を認めた.第18病日に症状軽快し退院.退院後の内視鏡検査では線状潰瘍瘢痕を残すのみであった.キノコ中毒における消化管病変の報告は少なく,またその経時的変化を内視鏡的に追えた自験例は貴重であると考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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