日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
好酸球性胃腸炎の診断と治療
木下 芳一石原 俊二天野 祐二清村 志乃多田 育賢丸山 理留敬
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2012 年 54 巻 6 号 p. 1797-1805

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抄録
好酸球性胃腸炎の原因は明らかとはなっていないが,Th2反応をおこしやすい個人が食物抗原等に反応して消化管でのIL-5,-13,-15,eotaxin等のサイトカインの産生が高まり好酸球やマスト細胞が活性化されて消化管上皮に傷害をおこすアレルギー疾患であると考えられている.本疾患は40歳頃を発症ピークとし男女共にほぼ同様に発症するが,喘息などのアレルギー歴を有する例が多い.主訴は腹痛と下痢であることが多く,末梢血白血球の増加や好酸球の増加を80%以上の例でみとめる.粘膜に病変を有する例では内視鏡検査で,びらん,発赤,浮腫などをみとめるが,内視鏡検査では確定診断はできず複数個の生検が必須である.漿膜下に病変のある例では腹水をみとめ腹水中に好酸球を多数みとめる.治療はグルココルチコイドが主となるが,減量・中止後に再発をきたしやすく,減量を補助するため種々の抗アレルギー薬が使用されることがあるが,その有効性に関するエビデンスは十分ではない.
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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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