抄録
近年抗血栓療法中の患者に対する内視鏡の需要が増している.日本と欧米では抗血栓療法中の観血的処置に対する取り扱いが異なる.当院における日本消化器内視鏡学会の抗血栓療法に関する指針の遵守状況と内視鏡に伴う出血・塞栓症の発症について調査した.約7割の医師が抗血栓療法中の観血的処置の経験を有していた.認識不足により行った医師が約半数であり,最多の原因であった.4割の医師は抗血栓療法中であることを知りつつインフォームド・コンセント後に処置を行っていた.処置後の対応としては2割の医師が内視鏡的な予防的止血術を行い,半数の医師が抗潰瘍薬の投薬を行っていた.今回の調査において,処置に伴う消化管出血の発症は認められなかった.一方で,1/4の医師が抗血栓療法中止に伴う血栓塞栓症を経験していた.抗血栓療法の中止にはより慎重な姿勢が求められるが,今後学会を中心とした日本人によるエビデンスの構築が必要と考えられた.