抄録
症例は68歳,女性.下肢の紫斑と激しい上腹部痛のため,近医に入院.入院後23日目より嘔吐と大量下血を認め,当院に緊急転院となった.空腸からの大量出血を繰り返し,緊急手術となった.多彩な臨床症状と,空腸切除標本の病理組織学的検索により結節性多発動脈炎が疑われた.ステロイドパルス療法と内視鏡的止血術,カテーテルによる血管塞栓術を行ったが,大量の消化管出血と多臓器不全のために永眠され,病理解剖の結果,結節性多発動脈炎の最終診断を得た.消化管出血を主体とした結節性多発動脈炎は極めてまれで予後不良であり,迅速な診断と治療介入が必要と思われた.