日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
上部消化管出血(非静脈瘤性出血)に対する内視鏡的止血のコツ ―困難例の対処方法―
今枝 博之細江 直樹柏木 和弘大庫 秀樹山岡 稔筋野 智久井上 詠鈴木 秀和岩男 泰日比 紀文緒方 晴彦
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2012 年 54 巻 8 号 p. 2256-2268

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抄録

上部消化管出血(非静脈瘤性出血)に対して当科ではショートクリップを用いたクリップ止血を第一選択として施行しているが,出血が著明な場合や太い露出血管を伴う場合,単独では止血困難な場合に高張Naエピネフリン(HSE)や1万倍希釈エピネフリン局注を併用する.検査開始時からショートフードを装着することにより,視野の確保が難しい部位や接線方向となるために止血困難な部位に対しても病変をなるべく正面視して止血することが容易となる.また,送水機能付きスコープを使用することにより鉗子口にクリップ装置が挿入されている状態でも出血点の同定が容易となり,ただちに止血操作を行うことが可能である.内視鏡的止血法は進歩してきたが,太い露出血管を伴った深掘れの潰瘍などに対しては今もなお内視鏡的止血が困難なこともあるため,放射線科医や外科医と早い段階から密に連絡をとりあい,時期を失することなくinterventional radiology(IVR)や外科手術に移行するよう心がけることが重要である.

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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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