日本消化器内視鏡学会雑誌
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潰瘍性大腸炎に関連した胃十二指腸病変の診断と臨床経過: 回腸嚢炎との関連性
久部 高司松井 敏幸宮岡 正喜二宮 風夫石原 裕士長浜 孝高木 靖寛平井 郁仁池田 圭祐岩下 明徳東 大二郎二見 喜太郎
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2012 年 54 巻 8 号 p. 2269-2277

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抄録

【背景】潰瘍性大腸炎(UC)は,大腸病変のみならず回腸嚢炎など他臓器に様々な合併症を引き起こすことがある.その中で大腸病変に類似したびまん性の胃十二指腸炎がまれながら報告されている.
【目的】UCに関連した上部消化管病変の定義を試み,その頻度と臨床経過を検討する.
【方法】上部消化管内視鏡検査が施行されたUC 322例を対象とした.大腸病変に類似したびまん性胃十二指腸炎のうち,他疾患が否定され以下の定義に合致するものをUCに関連したulcerative gastroduodenal lesion(UGDL)と定義した.1)UCの治療により胃十二指腸病変が改善する.and/or 2)病理組織学的所見がUCに類似する.
【結果】この定義に合致したUGDLは322例中15例(4.7%)で,15例の大腸病変の病型は全大腸炎型または大腸全摘出術後だった.病型別では全大腸炎型146例中9例(6.2%),大腸全摘術後81例中6例(7.4%)に認められ,大腸全摘出術後のうち4例は回腸嚢炎を合併していた.
【結論】今後UCの診断治療に際してはUGDLの存在も考慮しなければならない.またUGDLは回腸嚢炎との関連も示唆された.

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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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