抄録
【目的】本邦においてESDは意識下鎮静法で施行されているのが現状である.しかし,術後肺炎等,ESDの麻酔関連合併症の危険因子の評価はなされておらず,その発生率,及び危険因子について,多施設で検討した.【対象】大阪大学ESD Study Group内の9施設にて2003年5月から2008年9月までの期間にESDを施行した胃腫瘍 計1,188症例を対象とし,一括切除率及び合併症(出血,穿孔,術後肺炎)と症例背景との関連性をロジスティック回帰モデルにて検討した.【結果】一括切除率は95.3%であった.合併症は出血37例(3.1%),穿孔49例(4.1%),術後肺炎19例(1.6%)に認めた.単変量解析では,出血,穿孔の危険因子は処置時間のみで,腫瘍径,年齢,性別,局在で有意差は認めなかった.術後肺炎の発生率は,潰瘍形成有り,75歳以上の高齢者,処置時間5時間以上,で有意に高かった.【結論】出血,穿孔の発生率は年齢で有意差を認めなかったが,術後肺炎の発生率は後期高齢者で有意に高く,ESD施行に際しそのリスクを最小限にする注意が必要と考えられた.