日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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原著
抗血小板薬服用患者に対する小型生検鉗子を用いた上部消化管粘膜生検の現況
石川 茂直稲葉 知己水川 翔高嶋 志保泉川 孝一田岡 伸朗三好 正嗣和唐 正樹中村 聡子間野 正平十河 多身子河合 公三
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2013 年 55 巻 10 号 p. 3357-3367

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抄録

【背景・目的】経鼻内視鏡として主に用いられる極細径内視鏡用の小型生検鉗子による抗血小板薬非休薬下での上部消化管生検の現況を報告する.
【対象と方法】通常上部内視鏡検査時には抗血栓薬の休薬をせず,抗血小板薬服用者には生検を行う方針とした.連続5,374例を対象に,生検施行者の後出血を前向きに調査した.また,小型鉗子による適正材料採取と粘膜筋板採取率に関して調査した.
【結果】胃生検1,128例中抗血小板薬服用者は65例で,抗血栓薬非服用者で1例の後出血を認めたが,抗血小板薬服用者に後出血は認めなかった.胃検体2,025中,適正検体は99.3%(2,010/2,025)で,粘膜筋板採取率は27.8%(538/1,932)で胃上部と中部は下部より高い割合であった(いずれもp<0.00001).
【結論】抗血小板薬非休薬下での小型生検鉗子による胃生検は,十分な止血確認を行うことで安全に施行できている.

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© 2013 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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