2018 年 33 巻 3 号 p. 447-454
目的:藤枝市の大腸がん年齢別死亡率と人口動態を検証した.藤枝市と東京都の75歳未満大腸がん年齢調整死亡率を比較した.
方法:藤枝市の大腸がん死亡数を1981年より2015年まで調べた.その間,2005年より2015年までの大腸がん死亡者の死亡率,性,年齢を調べた.年代別死亡率の経過を10歳刻みで観察した.年代をa群(40~69歳),b群(70歳以上)の2群に分け,壮年層と高齢者の死亡数の変化と人口動態を検討した.東京都と藤枝市の大腸がん年齢調整死亡率を(基準人口を1985年モデル人口使用)直接法を用い比較検討した.
結果:藤枝市の大腸がん死亡率は全死亡者数の3%で,人口あたり0.02%であった.1981年より2015年までの死亡数は920人であった.大腸がん死は増加していた(p<0.01).a群とb群の2群の比較ではb群がa群に対し有意に死亡数が増加した(p<0.01).経年変化ではa群での死亡率の増加はなかった.東京都との比較で75歳未満大腸がん年齢調整死亡率は藤枝市の男性は5.00,女性では1.96(人口10万対)少なかった.男性は死亡率の増加があったが女性では東京と同じく死亡率の減少傾向を認めた.
結論:藤枝市での大腸がん死は高齢者人口の増加とともに増加していた.藤枝市と東京都との75歳未満年齢調整死亡率での比較では,藤枝市が年齢調整死亡率は3.34(人口10万対)低かった.