抄録
大腸ESDは2009年8月から先進医療として行われていたが,2012年4月に保険収載された.本稿では大腸ESD初学者の内視鏡医を対象に,準備から手技の実際および工夫,偶発症の予防について詳細に解説した.手技については当院で現在行っている,ITknife nanoTMとDualKnifeTMをメインデバイスとして使用する方法を主体に解説した.大腸におけるITknife nanoTMの使用法は,確実に粘膜下層を視認しながら,ブラインド操作を避けることが重要であり,他の先端系デバイスによるESDと視野の確保などに関して大きな隔たりはない.ITknife nanoTMによる粘膜下層剥離により,偶発症の発生を増加させずに治療時間を短縮することが可能である.大腸ESDの初学者は自らのメインデバイスを定めて,じっくりと技術習得に努める姿勢が求められる.