抄録
症例は72歳男性で,タール便を主訴に入院となった.非代償期C型肝硬変と肝細胞癌にて経過観察されていた.食道静脈瘤に対し6年前に内視鏡的静脈瘤硬化療法を行った.肝細胞癌に対し計7回肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行った.腹部造影CTにて十二指腸周囲に静脈瘤を認めた.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸水平部に白色栓を伴う腫瘤状の静脈瘤を認めた.この静脈瘤に対し,ダブルバルーン内視鏡を用いて内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を施行した.初回治療3週間後のCTにて十二指腸静脈瘤は消失しており,内視鏡検査ではEVL後の瘢痕を認めた.十二指腸静脈瘤破裂に対して,ダブルバルーン内視鏡を用いたEVLは有用な治療法と考えられた.