日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
ガンシクロビルに抵抗し,ホスカルネットナトリウムが著効したサイトメガロウイルス感染を伴う潰瘍性大腸炎再燃の1例
坂本 広登張 淑美林 幸治下平 和久松澤 正浩坂口 みほ赤松 泰次
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2013 年 55 巻 5 号 p. 1661-1666

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抄録

症例は21歳,男性.再燃,寛解を繰り返す潰瘍性大腸炎(全結腸炎型)の加療中に,治療に抵抗する発熱,粘血便,排便回数の増加を認めた.血液検査にてCMVpp65抗原が陽性を示し,サイトメガロウイルス(CMV)感染を伴った潰瘍性大腸炎の再燃と考えられた.ガンシクロビル(デノシン®)を投与したが改善せず,下部消化管内視鏡検査にて横行結腸に多発する下掘れ潰瘍を認め,CMVpp65抗原の著明な増悪を認めた.大腸全摘術を視野に入れながらガンシクロビルに変えてホスカルネットナトリウム(ホスカビル®)を投与したところ,CMVpp65抗原の陰性化と症状の著明な改善を認めた.

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© 2013 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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