抄録
症例は59歳女性.健診での上部消化管内視鏡検査において,胃体下部前壁に4mmの0-IIb型印環細胞癌を指摘された.病変は周囲粘膜に比し淡褪色を示す類円形病変として特徴的な肉眼像を呈していた.鉗子生検後,病変確認困難となったがNBI併用拡大内視鏡観察により病変を再度確認することができた.ESDが施行され,2年6カ月経過したが再発は認めていない.本症例は印環細胞癌であり,稀な疾患ではないが,その微小病変の報告は極めて少ない.今回,われわれは印環細胞癌の初期病変の一つと考えられる微小病変を内視鏡的に観察し得たためここに報告した.