日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
拡大内視鏡観察が診断に有用であったSessile serrated adenoma/polypに合併した大腸粘膜内癌の1例
藤井 茂彦日下 利広後藤 規弘越川 頼光山口 大介池田 敦之中井 喜貴畦地 英全國立 裕之安原 裕美子
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2014 年 56 巻 12 号 p. 3973-3979

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抄録
症例は79歳男性.大腸腺腫の経過観察目的のため施行した下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に35 mm大の同色調表面隆起型病変をみとめ,一部に3mm大の軽度発赤隆起部を伴っていた.Narrow band imaging併用拡大観察では軽度発赤隆起部で不整な微小血管の増生をみとめ,クリスタルバイオレット染色拡大観察では,軽度発赤隆起部はVI型軽度不整pitを,周囲の表面隆起部は開大したII型pitであった.以上の所見より鋸歯状病変に合併した粘膜内癌と診断しESDを施行した.病理診断はSessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)に合併した粘膜内癌で,癌部は3mm大の微小病変であった.SSA/Pに合併した大腸粘膜内癌の診断に拡大内視鏡観察が有用であったことから,癌化のリスクを有するSSA/Pに対して拡大内視鏡による詳細な観察が重要である.
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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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