2014 年 56 巻 2 号 p. 267-272
症例は45歳男性.検診のために経鼻内視鏡検査を行ったところ十二指腸下行部のVater乳頭対側後壁寄りに長径5mm大のIIc病変を認めた.十二指腸早期癌と診断し内視鏡治療を行う方針とした.内視鏡的に切除でき,合併症はなく,組織学的に完全切除できた.これまで経鼻内視鏡検査で発見された早期十二指腸癌の報告はない.経鼻内視鏡は受容性が高いものの,十二指腸病変の診断能は一般に低いといわれているが,内視鏡治療で完全切除できる十二指腸癌の早期診断も可能である.