日本消化器内視鏡学会雑誌
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経験
悪性大腸狭窄に対するNiti-S D-type stentを用いたステント治療
古志谷 達也磯部 涼坂上 均米田 麗枝桂 長門清水 謙司
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2014 年 56 巻 2 号 p. 286-291

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抄録

悪性大腸狭窄に対してNiti-S D-type stentを用いたステント治療を施行した症例をretrospectiveに検討し,その有用性を明らかにした.15例(palliative therapy 12例,bridge to surgery:BTS 3例)に施行し,全例で手技的成功が得られた.術前のColorectal Obstruction Scoring Systemは平均1.3で,術後には平均3.8に改善した.BTS症例では,ステント留置後速やかに腸管閉塞症状の改善を認め,一期的な外科手術が施行された.Palliative therapy症例では,平均観察期間92日(17日-380日)で,後期合併症としてステント再閉塞を2例に認めた.ステント留置後4例に化学療法が併用されたが,化学療法による影響は認めなかった.現在,本邦では2種類の大腸ステントが保険収載の上で使用可能となったが,今後長期予後を含めた前向きな比較試験が必要である.

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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